「これは小言として聞き流して頂いて結構なのですが、基本的に悪魔は、魔物たちと同じ種族ではないかという一説があります。Sランク級の魔物から、どうやって人語を話し、快楽を理解する悪魔へと進化を遂げるのか、は解明されていないのですが、私としても同じ特性があるのではないかと推測しています。――まぁ、こちらに関しては、今のあなたには必要のないプチ情報になりますから、今のところは忘れてくださっても結構ですよ」
スミラギは、ハッキリとした回答も解説もないまま、珍しく含んだ物言いをした。
「七十年続いた半悪魔体の研究は、事実上の永久凍結が決定されました。ですから、本当にあなたで『最後』なのです」
「そっか。それは良かった」
サードは難しいことを理解するのは諦めて、それでいい、と思ったことだけを受け止めた。ずっと、そうなればいいと思っていただけに、気は軽くなった。
ふと、対等に口喧嘩をしたトム・サリファンとの日々が脳裏に浮かんだ。地上に出た研修の半年間を、サードは家族のいない彼と、二人暮らしの生活を送った。
使用人のいない屋敷で、毎日訪れるスミラギと口煩いトム・サリファンがいて、忙しくて目まぐるしくて、そして笑わない日なんてなかった。
「なぁ、スミラギ。ここから出たらさ、トム・サリファンに『さよなら』と、『口喧嘩も追い駆けっこも結構楽しかった』って伝えてもらっていいか?」
スミラギは、ハッキリとした回答も解説もないまま、珍しく含んだ物言いをした。
「七十年続いた半悪魔体の研究は、事実上の永久凍結が決定されました。ですから、本当にあなたで『最後』なのです」
「そっか。それは良かった」
サードは難しいことを理解するのは諦めて、それでいい、と思ったことだけを受け止めた。ずっと、そうなればいいと思っていただけに、気は軽くなった。
ふと、対等に口喧嘩をしたトム・サリファンとの日々が脳裏に浮かんだ。地上に出た研修の半年間を、サードは家族のいない彼と、二人暮らしの生活を送った。
使用人のいない屋敷で、毎日訪れるスミラギと口煩いトム・サリファンがいて、忙しくて目まぐるしくて、そして笑わない日なんてなかった。
「なぁ、スミラギ。ここから出たらさ、トム・サリファンに『さよなら』と、『口喧嘩も追い駆けっこも結構楽しかった』って伝えてもらっていいか?」