俺は軍人就職なんて希望してねぇし、上に立つのが当然みたいな態度のお前と関わるなんて全力でお断りだ。むしろ『それまで生きてない』から、安心して放っておいてくれ。

 思わず、そう口走ってしまいたい言葉を心の中に吐き出した。学園で一番注目を集めているロイが、こうして露骨に風紀委員長を個人指名で煽ってくるせいで、こちらの風当たりが余計に強くなるのである。

 許されるのであれば、そのまま感情に任せて思い切り顔を歪め、馬鹿、阿呆、引っ込んでろ、と言ってしまいたい。しかし『風紀委員長の設定』でそこは許されないため、サードは表情をどうにか引き締めて役通りに口を開いた。

「――生徒会長とはいえ、俺個人の将来について言われる筋合いはない。最終決定権は『国王』と『現皇帝』にあるんだからな」

 少しくらいは苛立って聞こえるよう、低い声でそう言い返した。

 そもそも実験体の生物兵器として十六年を過ごしたため、サードは何かを想像したり、望んだ経験はなかった。