無言のままの理事長が、不快を訴えるように僅かに目を細めた。

 空気を変えることに失敗してしまったらしい。サードは反省するように無駄話を切って、自身の腹部を見下ろした。

「ほんの少し前までは、こんなに脆くはなかったんですけどね」

 業務休憩が始まって二日目の朝、風紀委員室の集合時間に間に合うように走っていた時に、転びそうになった際に腹に触れて初めて、かなり脆くなってしまっていることに気付いた。

 その後、色々と試してみて分かったことは、気を抜くと超治癒再生という『壁』がなくなるかのように、外部からの圧力で内臓組織が簡単に潰れてしまうということだった。警戒心がなくなるほどにリラックスしなければ起こらないようなので、今のところ学園生活に問題はない。

 でも、それもきっと、今のうちだけだろう。サードは向かいのソファに座り直しながら、それを簡単に説明した。

 冷静な表情に戻った理事長が、テーブルの上に手を組み「なるほど」と相槌を打った。