「数ヵ月だけで、ここまできてしまいました。もう、ボロボロでしょう?」
「…………」
「痛覚をいじられていますから、これぐらいは平気ですよ。それに、すぐに超治癒再生で、元気な臓器の状態まで蘇生されます」

 理事長は、サードの腹部からゆっくりと手を離した。圧迫から解放された腹部内から、ピチリピチリ、と細胞組織が再生する音が上がる。

 滅多に表情を変えない理事長が固まる様子を見て、サードは「本当に痛くないんで、大丈夫ですよ」と笑い返した。

「俺らは悪魔の血を使って『母親』から生まれた後、培養された悪魔の血を投与され続けた中で、拒絶反応で死ななかった順番から成功検体として番号が振られて、それから痛覚をいじる手術が行われたんです」

 場に漂う空気を和ませようと、できるだけ明るい調子で話を続ける。

「あの頃は既に痛みにも慣れていましたから、それから更に痛みが減退すると、『これくらいの軽い損傷』は平気になるというか……あ、そういえば俺にあてられた名前は『被検体番号580』だったんですけど、俺が三番目の成功検体だったから、その後に『ナンバー03』になったんですよ」