親孝行なんて言葉は知らなかったけど、言葉の意味を聞いてなんだか良いなと思った。
それが、どういう気持ちのするものなのかも知らない。けれど多分、自分は、嫌いじゃないと思う。
手錠を繋がれて実験場に移動し、スピーカーから流れる『ターゲット』という言葉を聞いて、指定された相手に向かって攻撃を開始する。
血だらけになり、息も絶え絶えになった頃に終了の声がかかった。そのたび、若い研究者が辛そうな顔でやってくるので、サードはその空気が嫌で笑うようになったのだ。
そう思い出すように語り聞かせる間、理事長は時折、相槌を打つように小さく頷いた。直立した守衛は、いつも通りこちらのやりとりを注視し続けている。
「お前は自分の未来を考えたことがあるか?」
こちらが話し終えたところで、理事長が口を開いてそう言ってきた。
「? 心臓が機能を止める前に、悪魔と対峙します」
「たとえば悪魔の件を除いたとして、だ」
素早く切り返され、サードは「えぇ」と困り果てた。返事を促す理事長の鋭い視線に負けて、首を捻ってまたしても真剣に考えた。
それが、どういう気持ちのするものなのかも知らない。けれど多分、自分は、嫌いじゃないと思う。
手錠を繋がれて実験場に移動し、スピーカーから流れる『ターゲット』という言葉を聞いて、指定された相手に向かって攻撃を開始する。
血だらけになり、息も絶え絶えになった頃に終了の声がかかった。そのたび、若い研究者が辛そうな顔でやってくるので、サードはその空気が嫌で笑うようになったのだ。
そう思い出すように語り聞かせる間、理事長は時折、相槌を打つように小さく頷いた。直立した守衛は、いつも通りこちらのやりとりを注視し続けている。
「お前は自分の未来を考えたことがあるか?」
こちらが話し終えたところで、理事長が口を開いてそう言ってきた。
「? 心臓が機能を止める前に、悪魔と対峙します」
「たとえば悪魔の件を除いたとして、だ」
素早く切り返され、サードは「えぇ」と困り果てた。返事を促す理事長の鋭い視線に負けて、首を捻ってまたしても真剣に考えた。