「そうだ。国は『生まれ高い生徒たちを守るため』に、悪魔の血を持った子を作るべく数百人以上もの人間を犠牲にした。非合法に生み出された実験体は、長く生きられないまま死んでいき、証拠を残さないために戸籍も教育もされないまま、失敗作は遺体も残さないという決まりで焼却処分された」

 悪魔の血を持った人間を生み出すための犠牲にまず名乗りを上げたのは、自ら志願した女たちだった。彼女たちは、胎児に流れる悪魔の血により心身を壊され、次第に痩せ細り、錯乱したまま息を引き取っていく。

 その死体となった母体が干からびた頃に、サードたちは腹を破って生まれる。そうして実験体である半悪魔体の子供たちは、出生について教えられ、母親だった遺体を見せられることから全てが始まった。

 ベッドが一つしかない小さな牢屋。
 
 そこには、手足に枷をつけられた遺体があって、名前が記載された大きなプレートが提げられている。サードも自分の母親だという遺体と面会し、他の子供たちと同じように、自分の手で焼却炉のボタンを押した。