今のところ、昨年からずっとサードの仕事を増やし続けている『風紀委員長排除派』からの意見書は、個人的な文句ばかりである。しかし、業務に支障が出ると意見されて、他の部員たちに迷惑がかかるのはまずかった。彼らは、サードと違って公正に選ばれた風紀委員会の正式な部員たちだ。
 
 今の自分に与えられた『風紀委員長サード・サリファン』というキャラを、破るわけにもいかない。

 だからサードは、弱った表情を出来るだけ浮かべないよう心がけて視線を合わせた。すると、ロイが秀麗な眉を愉快そうに持ち上げて、こう言った。

「今日も見事な白髪だな、『風紀委員長』?」
「おいコラ。自前の銀髪だっつってんだろ、『生徒会長』。今は学業時間内だ、てめぇこそ耳の装飾品を取りやがれ」
「相変わらず愛想の一つも覚えない奴だな。そんな態度だと、せっかくの成績だろうが軍事の役職につくチャンスを逃すぞ」

 赤いダイヤのピアスを外そうともせず、わざと見せつけるように手で触れてロイが不敵に笑った。