慌てて早口で言うユーリスを見て、サードは顔を顰めた。それから、余計なことを呟いてしまったらしいと察して苺へと目を戻した。

「知ってる。『いちご』ってのは、そういうものだったな」

 後でスミラギから知識を仕入れておこう。そう考えながら、サードは自分にフォローをするよう答えた。研修した街中で見掛けたことがない果実なのは、きっと高価な果物だからだろうか。

 そういえば、林檎という果実も艶やかで赤かった事を思い出した。つい、ケーキ皿に目を落としたまま記憶を辿っていると、自分のケーキの上から苺をつまんだエミルが「サリファン君~」と声を掛けてきた。

「甘い苺だから、単品で食べても美味しいよ。へたのところを持って、実だけパクって食べちゃうの」

 なるほど、林檎のヘタと同じ要領か。承知した。

 サードは、自分の中でカチカチと情報を整理した。ひとまず食べ方を理解したところで、苺の葉の部分をつまみ、赤い果実の部分だけを食べてみた。