するとレオンが、一旦足を止め、銀縁眼鏡を押し上げて「先生方」と表面上だけ敬意の払われた声色でこう告げた。

「これは理事長が指示された、生徒会と風紀委員会の交友作業の一環ですので、気になさらないようお願いします」
「なんだ、そうなのか」
「理事長だったら仕方ないな」
「あの人の考えることは、よく分からんからな」

 集まった三人の教員たちが、途端に揃って「ははは」と呑気な笑い声を響かせた。

 驚きを通り越して顔面の神経が固まったサードに、一人の中年男性の教員が朗らかな様子でこう続けた。

「サリファン。お前のバカ力で、侯爵と宰相の子息様に怪我をさせるなよ~」
「いやいやいや、教師ならちょっとくらい助けようとする心意気を見せるべきところだろ!?」
「先生は、最近のお前の方が少し可愛くて好きだぞ~」
「俺はお前なんて知らねぇよッ」
「そりゃあ、お前は授業に出ないからな。俺は去年から引き続き学年主任で、お前のクラスの担任なの。よろしくな」
「んなの知るかあああああああ!」

 サードの叫びも虚しく、レオンはユーリスにも手伝わせて容赦なく生徒会室へと連行した。