思わず声を荒上げたサードは、我に返り咳払いを一つした。自分よりも若干視線の高い左右の生徒会役員たちを睨みつけ、はっきりと断言する。

「いいか、俺は別に気分が悪いわけじゃない」
「じゃあ保健室に用はないじゃないですか。行きますよ、風紀委員長」
「…………」

 確かに、理由がないまま保健室を訪れるというも、おかしな話である。

 彼らとは予想外の遭遇だったし、前もって言い訳を考えていなかったのは誤算だった。しかし、少し考えて、あることに気付く。

「……待てよ。睡眠不足も体調不良の一つじゃね?」
「寝足りないということでしたら、保健室に迷惑をかけずに、生徒会室で仮眠なさい。風紀委員会室と違って、きちんと仮眠室が備え付けられていますからね」
「だからッ、なんでそういう結論になるんだよ!」

 そう訴える間にも、レオンに襟首を掴まれてしまっていた。騒ぎを聞きつけた三人の教員が、職員室から顔を覗かせてレオンに引き摺られるサードに目を留めた。