引っ越してきたマンションから徒歩10分。
色々と悪くない条件で働けることになったため、しばらくの運は使い果たしたんだろう。
そんなことを思いながら、着いたところは落ち着く雰囲気であった。
住所を確認し、裏口に回る。
求人広告で見つけ電話をかけると、すぐにここに決まってしまったため来るのも初めてだ。
運がいいとはいえど、直接的に見ないで決めてしまう先生もどうかと思う。
考えていた途中で着いた裏口のドアを三回ノックし、開ける前に挨拶をする。
「すみません、お電話をおかけしました。今日からお世話になります、新川と申します」

静かな時間が続く。
返答がない、聞こえていないのかもしれない。
「すみませーん」


さっきよりも声を張り上げたつもりなのにまたしても返答がない。
約束の時間通りに来たが、いる様子がない。
失礼かもしれないが悩んだ末、仕方なくドアを開けてみることにした。
「失礼しまーす、、」
先生の部屋だろうか。
ロッカー、ソファと机が置いてある。
服とか最低限のものを用意すれば住めそうな環境だ。
だけど、肝心の先生は周りを見渡してもいない。
そう思った瞬間、少し下を見るとソファで死んだように眠った先生がいた。
「うわぁー!」
どうやらまともなスタートではないみたいです。