渉くんは25歳の消防士。
彼は幼い頃からの夢であった消防士になるいう夢を見事に叶えて、人の命を守る仕事をしていた。

そして、消防士になってからも『俺はいつかレスキュー隊になるんだ』って意気込んでいた。

誰よりも努力家で優しい彼を好きにならないわけがなく、ずっと大好きだった私はそんな彼の夢を一番近くで応援していた。

九個も年が離れていると渉くんは私のことを妹みたいな存在としてしか見てくれていなくて、学生時代に何人か彼女だっていたくらいだ。

“恋愛対象外”

それはもう痛いくらいによく感じていた。

だけど、私はどんなに周りの男の子と仲良くしてみても、私の心は渉くんが支配していて、もう渉くん以外は好きになれなかった。

ただ、告白する勇気もなかった私は自分の気持ちには蓋をして彼に好きだとは伝えずに妹のような存在としてそばにいることに決めたのだ。

もちろん、この気持ちは親にも内緒にしていた。

それは反対されることが分かりきっていたからだ。

渉くんは私の両親からすごく気に入られていたけれど九個も年が離れているからなのか、『いいお兄ちゃんがいてよかったね』と、まるで兄弟のようなことしか言わなかった。

それに彼の職業は消防士。