彼がいなくなったあの日のことを思い出すと、胸がぎゅっと締め付けられて焦げるように熱くなる。

彼がいなくなって私の世界は変わったんだ。

生きているのが、こんなにも苦しいと思ったのは初めてだった。

毎日が辛くて、どこにいても彼の面影を探す日々。
いくら泣いて喚いても、慰めてくれる彼はもういない。

それがとても辛くて、悲しくて耐えられなかった。

そして、何より私が殺してしまったという罪悪感が恐ろしいほどに襲ってきたのだ。


「……ハル」


震える私を心配そうに見つめ、ぎゅっと私の手を握ってくれる。

私の緊張や恐怖を緩和させるかのような優しい体温を感じ、大きく息を吸って吐いてゆっくりと口を開いた。


「……二年前の列車事故、知ってる?」

「列車事故?……ああ、あの大規模な列車事故のこと?」

「うん。あのとき、私もあの列車に乗っていたの」


あの時のことはきっと生涯忘れることはないだろう。

今だって鮮明に思い出せるのだから。





私は、小さい頃からの幼なじみである森重渉くんにずっと片想いをしていた。

だけど、この恋が叶わないことも分かっていた。
何故かというと、私たちは九個も年が離れていたから。

私は16歳の高校一年生。