「でも、もう二度と会えない。死んじゃったんだ……二年前に」


ドクンドクンと忙しく音を立てる鼓動。緊張で、今にも心臓が飛び出てしまいそうだ。

それに加えて、声も無意識のうちに震えてしまっている。

カイくんは何も言わないまま、そんな私のことを真剣な眼差しで見つめていた。

私は怖くてそんなカイくんの顔を見ることが出来ず、視線を逸らしたまま、言葉を続けた。


「私が………殺したの」


私の口からその言葉が吐き出された瞬間、ずっと真剣な表情だったカイくんの綺麗な瞳は大きく見開かれた。

当たり前だ。
いきなり、こんなことを言い出すんだから。

でも、本当のことだから。
カイくんには私の悪いところも知ってもらわなきゃいけない。

こんなに最低な人間なんだよってことを。
本当の私を知ったらカイくんは私のことを好きじゃなくなる。

嫌いになってしまう、そう分かっている。
それでも、話さないといつまでも隠してはいられない。

こんなにも真っ直ぐに私を見てくれているのに。
だから、私もちゃんと彼と向き合いたい。


「私がいなかったら、彼は今でも生きてたのに」