「まだ、ダメだって言うんだったら聞かねぇ。でも……マジでもう一人で泣くな。泣きたくなったら俺が抱きしめてやるて言ったろ?」


そう言いながら、少し濡れている私の髪の毛をくしゃりと柔らかく撫でた。

たった、それだけのことなのにトクンと甘く鼓動が跳ねた。

カイくんって、本当に優しすぎる。
その優しさに私は……甘えてもいいのかな?


「……私、最低だよ?話聞いたらカイくん、私のこと嫌いになるよ?」


私は彼に何を言っているんだろう。

別にカイくんに嫌われてもいいじゃん。
むしろ、嫌いになって関わらないようにしてほしかった。

なのに、どうして今じゃ……。

“嫌われたくない”

そう思ってしまっているんだろう。


「バカだな、ハルは」

「え?」

「どんなお前だって、それはハルだろ?さっき俺が言ったこともう忘れたわけ?」


さっき俺が言ったことって言われてもたくさんありすぎて思い出せないよ。


「忘れんぼなハルちゃんだから特別にもう一回言ってやるよ」