「お前の命はハルの母さんや父さん、中森や俺……みんなの命でもあるんだよ」

「どういうこと……?」


なんでお母さんやお父さん、江奈やカイくんまで出てくるの?


「お前が死んだらみんなが悲しむ。それくらい、お前だってわかってんだろ?」

「……っ」


そういうことか……。

私はその言葉で彼が言いたいことの本質を理解した。
私の命がなくなってしまえば、きっとみんなが悲しんでしまうから。

私一人だけが楽になっても他の人は楽になんてならない。
今の私のように、出口のない消えることのない悲しみに苦しめられるのだろう。

冷静になって、少し考えてみれば分かることなのに……こんなことも分からないなんて私は本当に大馬鹿者だ。


「ハル。お前は生きているんじゃなくて周りの人たちに生かされてんだよ」

「うぅ……っ」


その言葉を聞いて、なぜか冷え切っていた心に何かがぽっと点火されたようなほの温かさを感じて涙がぽろぽろと溢れ出てきた。

人間は一人じゃ生きていけない。
必ず、誰かの助けを借りなくちゃいけない。