そんな言葉にドクンと胸が甘く高鳴って、顔が熱を帯びていく。

気づいてくれていたんだ……。
誰も気づかないだろうなって思っていたのに。

どうしようもなく嬉しくて頬が緩みそうになったのがバレたくなくて必死で堪えた。


「うん、暑いから」

「可愛い。似合ってるよ」

「っ、」


そんなことサラッと言わないで。本気にしちゃうから。

カイくんみたいな女の子慣れしている人にとってはそういうことを言うのは普通なんだろうけれど、私みたいなやつはそんなふうに言われることに慣れていないんだよ。


「あれ?照れてる?」

「うるさい」


私はほんのりと赤くなっていく頬を隠すために野菜へと視線を落とした。

もうこれ以上私の心をかき乱さないで。
私の心に踏み込んでこないで。


「ふっ……好きだよ、ハル」


顔を私の耳元にずいっと寄せて、柔らかく酷く穏やかな声で囁いた。
そのせいで動揺してしまい、切っていた野菜がいびつな形に切れてしまった。

ドキドキしてしまっている私も私だよ。
本当に嫌になっちゃう。