そういって、今朝お母さんから受け取ったお肉の入った保冷バッグを渡す。
「わあ……!わざわざありがとう!準備するの手伝ってくれる?」
「私でよかったら……」
お菓子を作るのは下手だけど料理はできる方だ。
料理を始めた理由は渉くんに振り向いて欲しくて、胃袋から掴め!なんてよくある言葉を信じたからという何とも不純な動機である。
「ほんと!?助かる!」
キラキラと眩しいほどの笑顔を浮かべて喜んでくれている。
わたしもあんなことがなければ、彼女たちみたいにキラキラしたJKライフを送っていたんだろうか。
それからある程度人数が揃ったのを確認してから女子が野菜を切って、男子がお肉を焼く、という役割分担になった。
「へぇ、料理とかできる方なんだ」
トントン、と野菜を切っていると後ろからカイくんの声がして振り返ると彼は私に意外そうな表情を浮かべていた。
いつの間に来てたの……!?というか、不意に現れないでよ。
本当に心臓に悪いから。
「たまに家でもするからね」
「ふーん。つーか、今日の髪型いつもと違うな」