えっ……滝沢くんが私の泣き場所に?


なんて言えばいいのか分からなくて言葉に困って黙り込んでしまう。だけどそんなことはお構い無しに滝沢くんは言葉を続けた。


「どうせ、ずっと一人で泣いてんだろ?」


息が止まるかと思った。図星だったのだ。

今まで誰かの前で泣くことなんてできなかった。

江奈には心配をかけたくなかったし、お母さん、お父さんにも迷惑になるんじゃないかと思ってしまって、気づけばいつも一人で泣いていた。

なんでこんなやつに全部バレているんだろう。

バカみたいじゃん、私。
こんなこと滝沢くんに知られてどうするの。


「そんなこと……」

「泣くなら俺の腕の中で泣け。いまさら俺に我慢する理由なんてねえだろ」


なんで……そんなに優しくするの。

そんなことされたら堰を切ったように悲しみの涙が溢れ出てきてしまう。


「うぅ……っ。どうしたら……いいのっ」


自分でも訳がわからないくらい彼のことが好きだった。

忘れたくないのに忘れなきゃいけない。
果たして、それが本当に正しいのか。

一体何が正解なのか、今の私には全く分からない。


「ハル……」