私の初恋だった。
大切で、大好きでずっと一緒にいたいと思っていた人。
そんな人を忘れろなんて……できないよ。
「あの子の人生はもう終わってしまったけれど陽音ちゃんの人生はまだまだこれからなのよ。おばさんもおじさんも渉もみんな陽音ちゃんの幸せを願ってる」
おばさんとおじさんは昔からとても優しい人だ。
それを譲り受けた彼もまたとびきり優しかった。
でも、今はその優しさが辛い。
最低な私に優しさなんていらないのに。
「でも……」
「あの子がこの仕事に就いた時から覚悟はしてたの……それに陽音ちゃんのせいじゃないのよ」
私のせいじゃない。
何度もそう言われたけど、私は自分が許せない。
この手で、愛する人の人生を終わらせてしまったから。
この手を離さなければ今でも彼は……。
いっそのこと、誰かに罵倒して責められた方がいいような気持ちにもなってしまう。
「私だけ……幸せになるなんて無理です」
「陽音ちゃん……渉のことはもう忘れてちょうだい……!お願いだから……」
おばさんは震えた声でそう言い、ぽろぽろと涙を流しながら私の手をぎゅっと掴んだ。