いつだって俺のことをみんな変わらない笑顔で迎えてくれている。
本当に優しいヤツらなんだよな……としみじみ思う。
「お前らに任せるよ」
「んじゃあ、ゲーセン行ってそっからコンビニで晩飯買ってから俺ん家行こーぜ!」
いつも集まるメンツは俺を合わせて三人。
中学からの親友で本当に頼りになるヤツら。
一人は俺よりも冷静で落ち着きもあってよくクールだと言われている 増田侑歩。
もう一人はいつも冗談ばっかり言っているお調子者の 浜松雄一。
「いーね!」
「ほら、行こうぜ!」
「おう!」
今日、振られたことなんてなかったことのように思えてしまうけれど、頭をよぎるのは楠川のこと。
なんで好きなのかって言われると、特別な理由なんて……ないけれど、ただ楠川の笑った顔が一番好きなんだ。
アイツは覚えてないかもしれないけれど、俺とアイツは高校に入学して数週間がたった頃に出会って会話をしたことがあるのだ。
桜の木の下で、舞い散る薄紅色の花びらを見つめていた楠川をこの瞳に映した瞬間、なぜだか目が離せなくなって俺は無意識に彼女へと近づいた。