二人でどんなことも乗り越えていこう。
「カイ、くん……っ」
「ハル……初めて見た時から……ずっと好きだった……っ」
「うん……っ」
最初、言われた時は分からなかったけれど、今思い返せばなんとなく、カイくんと初めて話した記憶を覚えている。
薄紅色の桜の小さな花びらがとても綺麗で、儚く散っていくのを見ていたときに視線を感じた。そちらにゆるりと視線を向けると、そこにいたのは目に光が宿っておらず、全てに絶望したような表情をしたカイくんだった。
そのとき、私はなぜか直感で『全然、笑わない人だな』と思ったんだ。
だから、笑ってくれた時すごく嬉しかったのを覚えている。
それが今こんなふうにかけがえのない存在になるなんて当時は全く思っていなかったけれど。
「俺と……付き合ってください」
硝子玉のような澄んだ瞳に真っ直ぐに見つめられる。
気を抜けば吸い込まれてしまいそうなほど綺麗な瞳だ。
いっそこのまま、吸い込まれてしまってもいいとさえ思える。
返事はもちろん。
「はい……!」
何回目の告白か分からないけれど、やっと、君の告白に応えることができたね。
やっと通じ合った想い。これは当たり前じゃない。
かけがえのない奇跡なのだ。
「ずっと、黙ってて悪かった」
ぽつり、と弱々しい声が降ってきた。