それだけで、胸がギュッと痛いほど締め付けられる。


「私は君のことが好き……っ」


ずっと、伝えたかった。
やっと……声にすることができた。


「っ、」

「どんなカイくんも私は大好きです……っ。たとえ、耳が聴こえなくなっても私がカイくんを支えるから……私が……カイくんの耳になるから……っ」


私が君の耳になって色んな世界を見せるから。
嬉しいも楽しいも辛いも悲しいも、全部二人で分かち合おうよ。


「だから……っ!これからもずっと私のそばにいてよ……どこにも行かないで……私はカイくんと一緒に生きたい。二人で幸せになりたい……っ」


そういって、座っている彼の腰に抱きついた。

大きな手で頭をそっと柔らかく撫でられる。
それがとても心地よく、どこか懐かしく感じた。


「ハル……俺、ハルの歌声聴けてすげー嬉しい」

「うんっ……」

「ハル、ハル……っ、ハル……っ」


涙で潤んだ声で何度も、何度も私の名前を呼ぶ彼。
それはまるで私の存在を確かめるようで、ぎゅっと強く私を抱きしめる。

それだけじゃない。
彼の聴力を失ってしまうという恐怖もすごく伝わってきたのだ。

ずっと、聴こえてきた音が聴こえなくなって音のない世界で生きていくのは言葉では言い表せられないほど不安だろうし、今まで当たり前だった生活が突然できなくなるのは誰だって、怖くて仕方ないはずだ。

だから、これからは私が支える。

君が私を支えてくれたみたいに。