どんなときだって、優しく時に厳しく見守ってくれてきた。

私はそんな江奈に何度救われて来たことだろう。
これから先、江奈に何かあったら私がすぐに駆けつけるからね。


「ありがとう、いってきます!」


江奈にそう言うと、私はメイド服から急いで制服に着替えると、家から持ってきていたあるモノを持って体育館に向かった。


「さて、有志のラストを飾ってくれるのは3年A組の楠川陽音さんです……!」


司会の人の声が聞こえてきて、私は舞台に上がり用意されていたスタンドマイクの前に立つ。

そして、家から持ってきたアコースティックギターを肩からかけた。

緊張で膝がガクガクと震えて、その震えが手にまで伝染してくる。気持ちを落ち着かせるように私はゆっくり瞼を閉じた。

ふぅ……落ち着け。
大丈夫、私ならできる。

きっと、天国から渉くんも見守ってくれているから。

私は、周りの人たちに支えられて生きているのだ。

私の周りの人たちはみんな優しい人たちばかりでこんな私を笑顔であたたかく迎え入れてくれる人。

それに気づかせてくれたのは、他の誰でもない
───……カイくんだから。

ゆっくりと瞼を持ち上げると、視界いっぱいに広がるたくさんの生徒たち。