それは何の動きなのか聞かなくてもすぐにわかった。

―――手話だ。


「「か、い、と、の、友達、です」」


二人は柔らかく目を細めて、にっこりと笑った。

瞬間、目頭が熱くなってせり上がってくる涙を堪えきれず、温かいものが頬をツーっと伝う。

自分が泣いていることに気が付いて急いで服の袖で涙を拭った。

いつの間に手話なんて覚えてくれたんだろう。
俺から手話の話なんて一度も投げかけたことはないのにどうして。


「おいー、泣くなよ」

「そんなに感動した?」

「……な、んでっ」


何度拭っても溢れ出てくる涙を止める術がわからない。


「なんでってお前がこっそり手話の勉強してるのなんてバレバレなんだよ」

「俺らお前とこれからもずっと友達でいる気満々だし、お前と声で話すことはできなくなっても、他の方法で話せるようになれたらいいなーって思ってさ。じゃーん!本屋で買って練習してたんだぜ!」


得意げな表情をした二人のカバンから取り出されたのは俺が持っているのと同じような《はじめての手話》と表紙に書かれた本だった。


「……っ」


俺の為にわざわざ本屋にまで行って買ってきてくれたことも、俺の為に手話を覚えようとしてくれているのも全部、嬉しくて感動して胸がじーんと熱くなる。