「ひでぇな!俺はお前たちのことを思ってー!」

「はいはい。わかったから黙って食べろ」


そんな二人のやり取りをみて俺は込み上げてくる笑いを我慢できず、噴き出した。


「あはは……っ。お前ら変わんねえな」


急に笑い声を上げた俺をきょとんとした表情を浮かべ、すぐに二人もにいっと歯を見せて笑った。


「俺らが変わるとでも?なんも変わんねえに決まってるだろ」

「まあ、雄一はもうちょっと大人になったほうがいいかもしれないけど」

「侑歩、お前なぁ~~!」

「まあ、それは俺も思う」

「快人までそんなこと言うなよー」


先程まで静かだった病室が一気に騒がしくなる。

きっと俺の耳が聞こえにくいのをわかっているから少し大きめに話してくれているのだろう。


「あ、そうだ!俺ら快人に見せたいものがあるんだ!」

「え、なに?」


いきなりそう言い出したから俺はきょとんとした顔で雄一を見つめた。


「僕の、名前は、は、ま、ま、つ、ゆ、う、い、ちです」


雄一はそう声に出しながらぎこちなく手を動かす。

驚いて声すら出せずにいると、今度は侑歩が「僕の、名前は、ま、す、だ、ゆ、う、ほです」と同じく手を動かしながら言った。