『快人くん、残念だけど君の病気は再発しています』


二ヶ月程前、定期健診の為に訪れた病院でそう告げられた。

頭が真っ白になった。

どうしてまた俺が?俺は死んでしまうのか?
せっかく、ハルとも仲良くなれてきたというのに。


少し前から耳が聞えにくいのと耳鳴りやめまいに悩まされていたからまさかとは思っていたけれど、本当に再発していたなんて、信じたくなかった。

また、あの地獄のような治療の日々が待っているのかと思うと気が遠くなる。


『そう、ですか』


しばらくの沈黙の後、やっと口から出た言葉はそれだけだった。その声も情けなくなるほど動揺で震えていた。

そんな俺に幼い頃に脳腫瘍を患い、それからずっと担当してくれている平尾先生が声に悔しさを滲ませながらも落ち着いた様子でMRI画像を見せてきた。


『これが今回見つかった腫瘍なんだけど音を脳に伝える聴神経の左右両側ともにできていて、快人くんの場合、かなり病気が進行してしまっているから手術が必要になるんだ』


詳しく説明してくれているのに頭の中に内容が入ってこない。

ただ、とりあえず手術が必要なことはわかった。

だけど、リスクや後遺症はないんだろうか。

幼い頃に患った時は幸い何の後遺症もなく、生きることができたけれど、今回もそうだとは限らない。

急に怖くなって、膝の上でぎゅっと拳を強く握る。