だけど、滝沢くんの態度から冗談で言っているんじゃないことがひしひしと伝わってくる。


「ごめんなさい」


私はその気持ちに応えられない。
もう、大切なものはいらない。
好きな人なんて作らない、そう決めたから。

私が断ると、滝沢くんは何を思ったのか歩みを進めて私にどんどん近づいてくる。

な、なに……！？なんで近づいてくるの！？


「俺、諦める気なんてねぇから」


ポンッと私の頭に大きな手を置いてふんわりと笑った。

優しいその笑顔にドクンと胸が高鳴るのと同時に彼の笑顔がふっと頭に浮かんで重なった。

……やだ。もう私には構わないで。
私に関わってもいいことなんて何一つないんだから。


「……私は滝沢くんを好きになる事はないから」


そう、絶対に。

すると滝沢くんは物悲しげに微笑み、私の瞳を真っ直ぐ見つめてこう言った。


「俺が満足するまで告白するから、よろしく」

「……」


何故か不思議と言葉が出てこなかった。

たぶん、振られたのにも関わらずにこんなことを言ってくる人がいるなんて、私が生きてきた中では知らなかったからだと思う。

どうして、諦めないの？