私のことはそっちのけで二人は懐かしそうに思い出話に花を咲かせている。
な、なんの話……?
でも、今の話から分かるのはカイくんが私を二年前から好きでいてくれていたということ。
そんなに長い間、好きでいてくれたんだ。
そう思うと、胸がじんわりとあたたかくなっていく。
「楠川さんとやっとお近づきになれたのにさ、あんなの……ってアリか?」
「神様も最低だよ。俺は許せない。悠未さんのこともあったのに追い打ちをかけるようにあんな……一体、快人が何したって言うんだよ」
明るかった思い出話が突然、雰囲気が変わって暗くなる。
声のトーンも明らかに下がり、二人の表情にはやるせなさとどうしようもない怒りが滲んでいた。
「……何があったの?」
きっと、その様子じゃいい話ではなのだろう。
それも私は覚悟を決めて彼らに尋ねた。
「アイツ……小さい頃に脳に腫瘍できて入院してんの」
「え……?」
増田くんの言葉に頭が真っ白になった。
脳に、腫瘍?
カイくんが……?
だから、悠未さんはカイくんに『たくさん傷つけてごめんなさい』と謝っていたのかもしれない。
「それが、最近神経の近くで再発したらしい」
「そ、そんな……っ」
「だから、悠未さんを施設に入れるしかなくて自分は親戚にお世話になって、治療に専念することにしたんだよ」