私が辛い時に何も言わずにただそばにいてくれて、ダメなことをしようとしてるときはちゃんと叱ってくれて、嬉しい時は一緒に笑ってくれて、悲しい時はそっと抱きしめて、一緒に泣いてくれた。
彼はどんなときだって、私を一番に優先させてくれる人だ。
私のことを誰よりも大事に想ってくれていた。
いつしか、私もそんな彼に心を許して、どんどん惹かれていたんだよ。
「……同じようなこと、快人も言ってたよ」
増田くんが苦しさを滲ませた声でそう言い、力なく笑った。
「え?」
突然の言葉に驚きの声が洩れた。
「そういや、言ってたなー。『俺が楠川を笑顔にさせるんだ!』って口癖のように。でもなかなか行動に移せずに悩んでたよなぁ。あー、懐かしい」
すると、増田くんの言葉に便乗したように浜松くんが当時を思い出しているのかクスリと小さく笑って言った。
「そうそう。結局好きになって二年後に初めて行動に移せるっていう。ある意味、奇跡だよな」
「やっとって感じだったよな。あの時の快人の嬉しそうな顔ったらやばかったわ。あんな幸せそうな顔、久しぶりに見たし、こっちまで嬉しくなって三人で缶ジュースで乾杯してお祝いしたなー」
「快人は付き合ってもないのに大袈裟だって呆れてたっけ」