さっきの私と同じようにムッとしたような顔で見る江奈。

そんな顔さえも可愛くて、大人っぽい見た目からするとものすごいギャップだよ。

だからモテモテなんですよね……好きになる気持ち分かるよ、全国の男子たち。


「もうっ!私は真剣にこの童顔をどうにかしたいの!」

「それ聞くの何回目になるんだろう。陽音、中学の時からそればっかり言ってるよ」


呆れたように言いながら微笑する江奈。

だって、それは……ちょっとでも大人っぽくなって彼の横に立っていても妹扱いされない、釣り合うような人になりたかったから。

でも、今はもうそんな必要も無いもんね。

まだ、その名残りがあるのかも……私って本当にしつこいなぁ。


「じゃあ、もうこれからは言わない!」

「その言葉もまじで何回も聞いたよ」

「ええー!じゃあどうしたらいいの!?」


言わないようにしても言ってしまうのは無意識に脳がそう思っているからなのかな。

それは心のどこかでまだ彼が私の前に来て大好きな陽だまりのような笑顔を私に向けてくれるんじゃないかって……思ってしまっているからだろう。

本当に私はバカだ。
もうそばにいない人のことなんて忘れなきゃいけないのに。