あのとき、こうしていればよかったとかそんなことを思うのはもう嫌だから。


「意味わかんねぇし……」

「意味わかんないのはカイくんでしょ。全然学校来ないし、電話してもでないし、メッセージ送っても無視するし」

「……お前に俺の気持ちなんてわかんねぇよ」


そう、きっぱりと言い放ったカイくんの瞳にはやるせなさが滲んでいた。


「そばにいたい、それだけ」


ただ、それだけじゃ……ダメかな?

気持ちを理解してあげようとかそんな難しいことを思っているわけじゃない。

そりゃあ、救ってあげたいとは思うけれど、カイくんが抱えている気持ちまでは分からない。

人それぞれ感じ方も考え方も違う。双子でもそれは違うものなのだから。きっと、私にはわかってあげられない。


「っ、」

「人は一人じゃ生きていけないんでしょ?だったら、そばにいる私を頼ってよ」


君が教えてくれたんだ。

人は一人では生きていけないからこそ、周りの人の優しさに感謝して、お互いに支え合って生きているのだと。

それなのに、君はどうしてすべてを一人で抱え込んでしまうの。


「……俺についてきて」


ぽつり、と観念したようにそう言った。