このままどこかに行ったっきり帰ってこないなんてことはないよね?
カイくんは私のところに戻ってきてくれるよね?
何故かは分からないけれど、このままカイくんと会えなくなるような気がして根拠のない漠然とした不安に襲われた。
「気のせい、だよね……」
心の中に湧いてくる不安を紛らわすようにぽつりと独り言ちる。それは一瞬にして騒がしい街の中に溶けて消えた。
だけど、私の嫌な予感は気のせいではなかったと次の日になってわかった。
翌日、カイくんは学校に来なかった。
次の日だけじゃない、その次の日も、また次の日も。
結局、彼は3日も学校に姿を現さなかったのだ。
今日は華の金曜日と呼ばれる週の最後の日。
だけど、学校にはやっぱり彼の姿はなくて、これで4日目になった。
一体、あの日に何があったのだろうか。
本当にあのまま一人で行かせたのは正解だったのかな。
迷惑になるかもしれないけれど、私も行くべきだったのかな。
そんな後悔の波が私の心に押し寄せてくる。
不安でいっぱいで、全然華の金曜日を喜べる気分じゃない。