『ずっと陽音が私に遠慮してたことも分かってたよ。それでも、陽音から話してくれること待ってた……っ。だから今すごく嬉しい……っありがとう』


江奈は涙で顔をぐしゃぐしゃにしながらもいつものように優しい笑顔を浮かべて私にそう言ってくれたのだ。

その温かい言葉が私の心の中にとても深く残っている。

江奈にはたくさん迷惑とか心配をかけてしまったからその分これからたくさん恩を返していきたいと思っている。


「で、でも……!デートじゃないからね!?カラオケ行くだけだし!」


ちなみにカイくんのことを好きになったことも伝えている。

もう、隠し事はしたくない。
時間がかかってしまったけれど、きっとどんな私でも江奈は受け入れてくれるとやっと分かったから。


「ほぼデートじゃん!ていうか、また陽音が歌を歌うようになって私は嬉しいよ」


ふわりと柔らかく笑う彼女の笑顔からは優しさが溢れ出ていた。

本当に私は周りの人たちに救われて、今を生きている。

いつか、カイくんが言っていたように『ハル。お前は生きてるんじゃなくて周りの人たちに生かされてんだよ』

その言葉の意味が今なら少し分かる気がする。