私たちが教室内で会話をするのは気まぐれだ。


ずっと話していることもあれば、すぐに終わってしまう時もある。

でも、それが逆にいいのかもしれない、と私は思っている。

だって、お互い友達も大事にしたいし。って……カイくんも友達だって!

私は心の中で考えていることが相手に伝わらないのをいいことに何を勝手に彼女気取りなんかしてしまっているのだろう。


「陽音〜、聞いちゃったよ。なになに、放課後デートってやつですかっ♪」


カイくんが友達のところに行ってからすぐにニヤニヤと頬を緩ませながら、私の方へとやってきた江奈。


「もー、そんなんじゃないってば!」

「またそんなこと言って、ニヤニヤしないでよ〜〜。ほんとわかりやすいなぁ」

「に、ニヤニヤなんて……してますけど……」

「素直でよろしい」


ふふ、と満足そうに小さく笑った江奈。

彼女はもう私の全てを知っている。
室さんに子供ができたことや渉くんが手紙を書いてくれていたこと。

すべてを江奈に話すと『そっか。素敵な人を好きになったね』と一緒にわんわんと泣いて抱きしめてくれた。