カイくんも負けてないよ、とは言えない。

私はまだ意気地無しの弱虫だからである。けれど、いつかちゃんとこの気持ちを伝えるから。


「うん……よく分かる。なぁ、ハル。また俺と墓参りに行こう」

「え?」


突然の提案に私は目が点になった。


「最後に一回だけ」


そっか。本当はもう行っちゃいけないんだった。


「分かった」


何かカイくんなりに思っていることがあるのだと察した私は最後に彼に会いに行くことを承諾した。

私も、渉くんに伝えに行くよ。

『私もずっと大好きでした。渉くんに助けてもらったこの命で一生懸命生きて、絶対幸せになるから、見守っていて』と、そう伝えるから。

君がくれた命を、私は大切に生きるよ。

私も君を好きになってよかった。いつまでも渉くんは私の大切な人だ。それには変わりない。

いつかまた会える日が来たら、そのときは『ありがとう』って言えるように今を一生懸命生きることを決めた。

もう、下を向いて歩いては行かない。

後ろも振り返らない。君が明るいと信じてくれた人生を、前だけを向いて生きていく。