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拝啓、楠川陽音さま

陽音が今この手紙を読んでいるということは
俺はもうこの世界にはいないんだな。
『ずっとそばにいてやる』って
約束守れなくてごめん。
俺は夢も叶えて自分の人生に
後悔なんてないけれど、
ただ一つだけ、後悔がある。
それは君に『好き』だと伝えられなかったことだ。
本当はずっと好きだった。
笑った顔も怒った顔も全部が大好きで、
いつも自分のものにしたいと、
隣にいて欲しいと思っていたんだ。
でも、年も離れているし、
母さんたちも許してくれないだろうって
勝手にそう思い込んでこんなことになるまで
ずっと言えなかった。
陽音を忘れるために彼女を作っても
結局、虚しくなるだけだった。
でも、陽音のそばにいれるなら、
たとえ兄のように思われていたとしても
なんでも良かった。
それくらいお前が好きだ。
陽音が笑顔になって、幸せになれるなら
俺は陽音の選んだ道を全力で応援しようと思う。
大丈夫、陽音の未来は明るい。
それは俺が保証するよ。
俺が死んだからって泣いていないか?
泣いてばっかりいないで、どうか笑って。
俺は空から陽音の笑顔をいつも見守っているから。
あとはたまに歌声も聴かせてほしいな。
俺は陽音の歌の大ファンだよ。
いつも俺を励ましてくれて、
そばにいてくれて本当にありがとう。
いつもその笑顔に助けられていたよ。
だから、他の誰かと世界で一番幸せになれ。
でも、一度だけ、たった一度でいいから
夢の中で俺を彼氏にしてくれたら、
嬉しいな……なんてな。
俺は陽音に恋してよかった。ありがとう。
君がこれから生きて歩む世界が
希望に満ちていますように。

森重 渉より
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