だけど、なにも言わないってことは受け入れてくれているというふうに捉えておこう。

この時間が永遠に続けばいいのに……。

ふと、そんなことを思った。


「あっ、カイくんがこの前聴かせてくれた曲も入ってるんだよ」


不意に思い出して彼の肩から頭を離して、にっこりと笑った。


「マジ?聴きたい」


曲名は“きみに、好きっていいたくて”

一途に思う人の気持ちを表した曲だ。

流れていた曲が終わり、タイミング良くその曲が流れてきた。

何度聴いてもいい曲だなぁ。歌詞も共感できるし、このゆったりとしたリズムも好き。


「たとえ、二人に明日が来なくともそばで寄り添いあって笑いあっていよう」


目を閉じてうっとりした気持ちで聴いていると、無意識のうちに口ずさんでいた。

自分でも驚いて、閉じていた目をぱちりと開いた。
昔から歌うことが大好きでよく渉くんや家族、江奈に聴かせていた。

将来、歌手になりたいと思うほど音楽が好きだった。

だけど、渉くんがいなくなってからはいつしか音楽からも遠ざかり、歌うことなんてなくなっていた。
というより、歌えなかったの方が正解かもしれない。