「さっきの授業中、滝沢くんに話しかけられたの……!」
「え!?マジ!?今まで接点なんてなかったよね!?」
やっぱり江奈も私と同じ反応ですよね。
私もそんな感じだったもん。普段話さない子に話しかけられるとなんかビックリしちゃうよね。
私も未だに信じられない気持ちでいっぱいだもん。
だって、あの学年一人気者の滝沢くんだよ?
「そうなんだよ!しかも、めちゃくちゃイケボでさ?!」
私はどこにでもいるような至って普通の高校三年生。
ただ、人と違うのは少し問題を抱えているということだけだと思う。
それがなければ、本当に何でもないただの学生だ。
だけど、抱えている問題が少し大きすぎるから普通の学生じゃないのかもしれない。
誰にも癒すことの出来ない……私の心の傷。
江奈は優しいからあの事にはあまり触れてこない。
その優しさに甘えている私は先程授業中に夢を見たことを言わずに隠している。人の優しさに漬け込むようなことをしている私は最低だ。
江奈はあの事について全部知っている。
だけど、そのことについて触れないのは、もし触れてしまったら私がその度に思い出して一人で傷つくのが分かっているからなんだろうな。