「バカにしてんだろー?俺は本気だから本気」

「んー、楽しみしてる」


もういつものように話せている。
それはカイくんが私を拒絶するのではなく、彼が言った通り優しく全部を受け止めてくれたからだ。

本当にカイくんの発する言葉といい、優しい行動といい、彼には不思議な力があると思う。


「適当なやつだな」

「うるさいなぁー」


二人でどうでもいいことを言い合っている時間が意外と好きだったりもする。

“忘れなくていい”

そう、カイくんが言ってくれたからずっと心に抱えていた鉛のように重い気持ちが少し楽になったよ。


「あっ、そうだ。この曲もオススメだから聴いてみて!」


そう言いながらポケットからスマホとイヤホンを取り出し、イヤホンを片耳だけ彼に手渡して、もう片方は自分の耳につける。

カイくんも同じようにイヤホンを耳につけて、それを確認してから私は再生ボタンを押した。すると、ゆったりと流れ始めたのはラブソングだ。

私の大好きな曲。

渉くんからオススメしてもらって以来、ずっと聴いている。

このラブソングを歌っているバンドはこの前カイくんが聴かせてくれた曲を歌っている人たちだ。