何度、振り払っても、一番辛い時にそばにいてくれて抱きしめてくれる。
「……ありがとうっ」
こんな私を選んでくれて。
『助けて』と言えない私に気づいて、さりげなく助けてくれてありがとう。
「なぁ、ハル。もっと俺を頼っていい。助けて欲しいならそう言えよ」
「でもっ……」
「俺が力になるから。お前が心の底から笑える日が来てほしいから」
ポンッ、と頭にゴツゴツとした男らしい大きな手を置いてふんわりと笑う。
カイくんはいつも笑っている。私の前だけじゃない、クラスのみんなの前でもずっと笑っている。
そんな中で寂しげな影が目に宿るのはほんの一瞬なのだ。
「……いつか、そんな日が来るといいなぁ」
気になる気持ちをそっと心の中に隠して、私もにこりとはにかんだ。
「うん。絶対にくる」
「どこからそんな自信がくるの?」
「ん?俺がお前を笑顔にさせてみせる」
「ふふっ……なにそれ」
何故だろう。カイくんといると心が落ち着く。
人前では泣かないようにしていたのに彼にはいつの間にか心を許して何度も号泣してしまっているし。
付きまとわれて最悪だったのに今では、出逢えてよかった、と思っているのだから不思議だ。