本当に涙が枯れてしまうんじゃないかってくらい泣いたせいでカイくんのカッターシャツが私の涙で濡れていた。


「……俺がそばにいるから」


こんなときまで優しい言葉をくれる彼。どこまでも優しいカイくんは私の頭をそっと撫でた。


「私のこと……っ、見捨てていいよ……っ」


これ以上、優しくされてしまったら私はもう後戻りできなくなる。

君の優しさに甘えて、君を求めてしまう。そんなことになったら、また大切な人を失うのが怖い。

臆病で卑怯な私はまだ前に進むことができずに立ち止まっている。


「…バーカ。見捨てねぇよ。一緒に乗り越えよう。その人とのこと、少しずついい思い出にできるようにしよう」


体が離れ、視線が絡み合うと私の瞳をしっかりと捉えて、にこりと柔らかく微笑んだ。

彼は、いつもそうだ。

私が転んでしまったときや挫けてしまったときにいつも優しくそっと手を差し伸べてくれる。

だけど、私はその手をいつも振り払っていた。

人に優しくされる資格のない私だから、人に優しくされることを嫌がり、人を遠ざけて……それでも彼はめげること無く、私に手を差し伸べ続けてくれた。