私の言葉を遮るようにして言葉を続けた。

カイくんのその言葉は私の心に痛いほどよく染みて、とめどなく透明な雫が私の頬を伝う。零れ落ちた涙がアスファルトにポツポツと丸いシミをたくさんつけていく。


「うぅ……っ」

「もう二度とその時間には戻れない。それが思い出だ。だからこそ、お前が大切にしなきゃいけないんじゃないのか?」


どうして、いつもカイくんの発する言葉はこんなにも心にスッと入っていくのだろう。


「大丈夫。俺はお前を嫌いになんてならねぇよ」

「カイ、くん……っ」

「ハルはハルだか、ら……」


カイくんが言葉を詰まられたのは私がカイくんの胸の中に飛び込んだからだ。

何故だかわからないけれど、どうしようもなくカイくんに抱きしめてほしかった。

そのあたたかく優しいぬくもりに包まれたい気持ちになったのだ。いつかカイくんが私の泣き場所になってくれると言ってくれたから。


「ぎゅって……して……?」

「っ……、ああ」


言葉通り、ぎゅっと強く抱きしめてくれる。

私は、カイくんの胸の中で小さな子供のようにわんわんと泣きじゃくった。