泣き叫びながら、抜け出そうとして瓦礫を持ち上げようとするけれど、自分の力ではびくりとも動かない。
もうダメだ。私はここで死ぬんだ。
そう諦めかけた瞬間、
『今、声が聞こえた……?誰かー!誰かいませんかー!いたら返事をしてください!』
私の耳に届いたのは、愛しい人の声だった。
『助けて……っ、渉くん……!』
彼に気づいてもらおうと必死に声を上げる。
お願い……渉くん。
『陽音……!?どうしてここに……!大丈夫か!?』
そして目の前に現れたのは会いたかった大好きな人だった。
防火衣に身を包み、煙のせいなのか顔が少し黒く汚れている。
……よかった。
彼が来てくれた安堵からか、ぶわりと堰を切ったように涙が溢れ出てきた。
『渉、くん……っ』
『よく頑張ったな。今助けてやるから』
恐怖を和らげるように優しくそう言い、私の頭を撫でてくれた。
『陽音、俺が助けてやるから、待ってろよ……くっ……うぅ……』
彼は重いコンクリートの瓦礫を持ち上げながら、私のことを助けようと、必死に頑張ってくれている。