というより、みんな自分のことでいっぱいいっぱいで他人のことなんて気にしている余裕なんてまるでなかったのだ。
あとから聞いた話によれば、あのとき電車が急曲線で脱線して転覆してしまい、転覆後、近くの建物に激突して大惨事を招いた。
世間的にも大ニュースになった程、悲惨な事故だった。
『うっ……』
不幸中の幸いだったのは、私の上に落ちてきた瓦礫はそこまで大きい物ではなかったということだ。
これがもっと大きい物だったなら今頃私は死んでいただろう。
だけど、いくら大きくはないといっても女子高校生の力ではどうすることもできない。
誰か……助けて。
このまま、死にたくないよ……。
心の中で焦る気持ちを感じながら辺りを見渡し、呼吸を止めた。
事故の衝撃で火災まで起こっているらしく、二つほど前の車両からオレンジの炎が上がっているのがうっすらと見えたからである。
やばい……本当に死んじゃうのかな。
渉くん……会いたい。
こんなことなら、好きだと伝えておけばよかった。
もっと早くこの胸に秘めた想いを伝えればよかった。
なんでこんな時になって、覚悟が決まるのだろう。
『誰か!助けてくれ!』