「やっと着いたー!」

私は海の見える小高い丘の上にある桜の木の前で伸びをする。

「久しぶりだね。颯くん」

あれから私は治療を頑張って、リハビリもして、病気を必死で治した。そのため、中学校は行けなかったけど、勉強を頑張って高校に入学、一年生の頃は色々バタバタして、お参りに来れなかったけれどやっと来ることができた。

「遅くなってごめんね。颯くんと一緒に過ごせたのが春だったから、どうしても春にきたかったんだ。
高校に入学して、友達もいっぱい出来たんだよ」

私は『颯くん』の前でたくさん話をする。あの時話せなかったことも全部。途中で泣きそうになったけど、なんとか笑顔で語り終えることが出来た。

「そうだ。颯くんのお母さんとお父さんとも仲良くなってね。これからお家にお邪魔するんだ。初めて行くからドキドキしちゃうな」

颯くんのお母さんとお父さんとは、今でも仲良くさせてもらっている。あまりに仲良くし過ぎて、第三の親と化している。第二の親はもちろんみきちゃん。

「それじゃあそろそろお家の方に行ってくるね。
あ、そうだこれは言わなきゃ」

私は『颯くん』を見つめる。

「颯くん。私も、颯くんのことずっと」

とびきりの笑顔で

「好きだよ。今までも、これからも」

そう告げた。
ビューッと強い風が吹き、桜の花びらを散らす。
颯くんがあの優しい笑顔で見守ってくれているような気がした。