ふぅっと深呼吸をして、ドアに手をかける。

大丈夫、きっとうまくいく。

私は覚悟を決めてドアをガラガラと開いた。

「四葉!!!ごめんね、ごめんなさい!」

お母さんがそう言って私のことをギュッと抱きしめる。

「お母さん、最近仕事が忙しくてそれで色々と余裕がなかったの。それで、あんなこと言ってしまって.....お見舞いにも行ってあげなきゃってずっと思ってた。でも、私は恨まれているんじゃないかって、こんな体に産んで、お見舞いにもいってあげてなかったから.....」

そう、抱きしめながらお母さんは言った。私はずっと、お母さんは私のことなんかどうでもいいんだとずっと思ってた。
こんな体に生まれてきてしまったこと、私が小さい頃お母さんが子供ができたらやりたかったことを楽しそうに話してくれていたこと、それを叶えたいと思っていたのに、その前に私が病気になってしまったから。

私、お母さんがどんな人なのかちゃんとわかっていなかった。それなのに、勝手に悪者にして怒って、悪いのは全部私だ...

抱きしめられながら私は

「ううん。私の方こそごめんなさい!お母さんの気持ちも知らずに勝手に怒って、飛び出して。
私ね、ちょっとだけでもいいから、お母さんと色々おしゃべりしたかったんだ。
お見舞いに来てくれなくてもいい、せめて病状説明の日の少しの時間だけでもいいから、おしゃべりがしたかったの...」

そう本当の自分の気持ちをしっかりと伝えた。
お母さんは涙を流しながら、うん、うんと頷いてくれた。私はおずおずとお母さんの背中に手を回してギュッと抱きしめる。とてもあったかくて、心地よくて、私は自然と涙が溢れてきた。
私とお母さんは今までの距離を埋めるように抱きしめた。