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 突如として、国内第二位の魔法数を使えるようなった伯爵令嬢が登場した。

 アレス伯爵家の、ユーニ・アレス。十八歳の誕生日を迎えた成人と同時に、突然、彼女は魔法の才能を開花した。

 それはとても稀有な現象であり、〝魔力の質がいいからなのでは〟と聖女を生める可能性に貴族たちの注目が一気に集まった。

 ちなみに、魔法数第一位は、アンドレアだ。

 そうして、彼が伯爵令嬢といい感じだという噂があっと言う間に登場する。
 それをエステルも耳にした。

 アレス伯爵家は、聖女が生まれる可能性を大々的に広げているようだ。

 それを王家が聞き、王太子へ引き合わせた。

 それからいい感じであるということは――アンドレアは、魔力量もそこそこあり、魔法数が自分に続く彼女を気に入った、ということだ。

 エステルは心が揺さぶられるのも疲れ果てていた。

 その話が聞こえてきても、公爵令嬢としての涼しげな微笑を崩さなかった。

「そう」

 ずっとそばで使えてきたメイド達は、彼女を心配した。