私達の仲は、周りが察するほど冷めきっていた。
私に取り入っても『お飾り王妃』になる可能性が高いと分かったのか、貴族たちも、事件のあとは波が引いていくように王太子の婚約者として私を構わなくなった。
そもそも結婚するのかどうか、という噂が強まったのは、アンドレアが成人の二十歳の生誕式を迎えた日だ。
彼は私を、パレードに出さなかった。
表向きの理由は、かなりの日差しと暑さだった。
彼の誕生日は夏で、大きな傷跡を完璧に隠すとしたらやや厚着になる。
私も、醜い傷の一部を見た国民が同情などで胸を痛めるのは、祝いの場に相応しくないことだと思っていた。傷跡の一部さえ見えないようにした方がいい、と。
けれど、その努力さえ不要だと彼は手紙で遠回しに伝えてきた。
体調管理の魔法さえ使えない私を父は心配していたから、有り難がりつつも、いっときでも出させてはと戸惑いながら返事を送っていた。
国内の女性の中で、唯一王族に次ぐ強い魔力を持った女性だ。
慎重に扱った方がいいだろう――という短い返事がきた。
私に取り入っても『お飾り王妃』になる可能性が高いと分かったのか、貴族たちも、事件のあとは波が引いていくように王太子の婚約者として私を構わなくなった。
そもそも結婚するのかどうか、という噂が強まったのは、アンドレアが成人の二十歳の生誕式を迎えた日だ。
彼は私を、パレードに出さなかった。
表向きの理由は、かなりの日差しと暑さだった。
彼の誕生日は夏で、大きな傷跡を完璧に隠すとしたらやや厚着になる。
私も、醜い傷の一部を見た国民が同情などで胸を痛めるのは、祝いの場に相応しくないことだと思っていた。傷跡の一部さえ見えないようにした方がいい、と。
けれど、その努力さえ不要だと彼は手紙で遠回しに伝えてきた。
体調管理の魔法さえ使えない私を父は心配していたから、有り難がりつつも、いっときでも出させてはと戸惑いながら返事を送っていた。
国内の女性の中で、唯一王族に次ぐ強い魔力を持った女性だ。
慎重に扱った方がいいだろう――という短い返事がきた。