アンドレアがティーカップを持っていない方の手で、自分とエステルを交互に指差した。

「そう、だったんですか……」
「魔法をかなり使う者だと、その波長の感じがよく分かる。魔法の種類によって魔力の波長を寄せる技術があるから――でも、俺もそれ抜きで、君とはいい夫婦になれると思っていたんだ」
「えっ?」

 彼の視線が、ティーカップと共にテーブルへと落とされる。

「出会った時……話す君を愛おしい、と思った」

 それは、エステルには驚きの事実だった。

「守りたい、と、心から思った――十一年経っても、その思いは変わらない」

 彼は喉元に引っ込もうとする言葉を引き留めるみたいに、苦しそうな顔で、言葉を一つずつ出していった。

 衝撃が大きすぎてエステルは過呼吸になりかけた。

 てっきり彼は、魔力量だけであてがわれた婚約者をよく思っていないとばかり……。

「……それなら、どうして」

 どうして二人は、うまくいかなかったのか。